創作童話


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その後のフレディ


(「葉っぱの○○○○」の最終ページより続く)

冬になって枝をはなれ、地面に落ちたフレディはだんだん心細くなってきました

ひゅうひゅう音をたてて風が通りすぎていきます

つめたい雨もひたひたとおちてきます

おなかをすかしたねずみも、フレディの上をちょろちょろと走りぬけていきます

でも、ほかのたくさんの葉っぱたちと体をよせあっているうちに 

すこしずつあたたかくなってくるのがわかりました 

体があたたまってくると、こんどはなんだか頭がぼんやりしてきました

「いよいよ僕は死んでいくんだろうか?」

それでもみんながまわりにいるので、フレディはあまりこわいとは感じなくなっていました

フレディは安心していつのまにか深い眠りに落ちていきます・・・


 *    *    *


1日、3日、1週間・・・  いったい、どのくらい眠っていたのでしょうか

フレディは「もぞもぞもぞもぞ」という音で目をさましました     

「うわーっ!なんだ、こいつら!」  

なんと、見たこともない虫たちがフレディのからだをおいしそうに食べているのです

はじめはいたくてこわくて気もちわるくて、がまんできませんでした

でもふしぎなことに食べられているうちに

いたさもこわさも気もちわるさもすーっと消えて

まるで、のびた髪の毛を床屋さんで切ってもらっている人間たちみたいに

だんだん気持ちよくなってきて、また、うとうとと眠ってしまいました・・・ 

*      *     *

それからどれくらい時がたったのでしょう

目ざめたフレディはふしぎな姿になったじぶんに気がつきました

からだはもう色もかたちもすっかりかわってしまい

まるでやわらかな土のかたまりのようになっています

「そうか、ぼくは虫に食べられて、虫のからだのなかをとおりぬけて出てきたんだ!」

フレディはもう、あの先がぴんととがったかっこいい葉っぱではありません

でも、どうしてか、こんなにかたちが変わってしまっても

じぶんが葉っぱだったことだけは、かすかに覚えているのです

そこへ、こんどはもっともっと小さな虫がフレディを食べにきました

もう、いたさも、気もちよさもなんにも感じなくなって

なにか考えようとしても頭がぼんやりして

しだいに気がとおくなっていきました・・

からだはもうはっきりしたかたちはなくなって

まわりの土や水といっしょにとけあっているようです・・・

そうしてまた1日、3日、1週間、1か月・・・  


 *    *    *


いったい、どのくらいたったのでしょうか

ある日、フレディはいきなりなにかひっぱりあげられるような力を感じました

ほそくて暗いつつのなかをぐんぐんと吸い上げられていくようです

「なんだかずいぶん高いところまであがってきたみたいだな」

フレディはたしかにそう感じたのです

でも、なぜそう感じるのかはわかりませんでした

外はすこしずつあかるく、あたたかくなり、春がちかづいてきます 

やがてフレディのからだはすこしずつかたくなって 

かたちのようなものができてきました

そして森いっぱいに小鳥たちの声がひびきわたる朝、

ついにフレディは小指の先ほどに小さな葉っぱの赤ちゃんになって    

高い枝の先に生まれ変わったのです

まっさおな空とまぶしい太陽がフレディにほほえみかけてきます

きもちのいい風がフレディのからだをなでていきます


 *    *    *


「やあ、トーマス! ごきげんいかが」

となりの枝の丸っこい葉っぱがあいさつしてきました

「トーマス! さむくないかい」 

そのとなりの丸っこい葉っぱもフレディをトーマスとよびます   

「たしかに前の僕とはかたちがちがうし、色もかわっちゃったみたいだ・・・」

でもフレディはもう、どんなかたちだろうと、

どんな名前でよばれようと気になりませんでした

だって、数えきれないほどたくさんの仲間たちにかこまれながら

こんなにも見はらしのいい

こんなにも日あたりのいい

高い枝のてっぺんに、もういちど生まれ変わることができたのですから


(「葉っぱの○○○○」の第1ページに続く)

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<ひとこと>
これは「葉っぱの○○○○」を読んだ人に贈る、もう一つのストーリーです。
春に生まれた一枚の木の葉が夏に繁り、秋に色づき、冬に落ち葉となって、
せいいっぱい生きる“人生”を描いたこの童話は、子供たちだけでなく多くの
大人の読者にも共感を呼びました。ただ、エンディングの「死」や「命の終わり」
のイメージがちょっぴり寂しく感じられたので、感想文代わりに勝手に「続編」を
書いてみた次第です。
フレディが土壌生物たちに分解されていくさまや再び樹木に生まれ変わる過程
など厳密にいえば科学的ではないかもしれません。ただ、自然の中の生命
のサイクルや永遠性を表現してみたいと思っただけです。
この続編をつけると物語は最初のページに戻ることになり、永遠に終わることの
ないストーリーができあがります。作者や出版社の方には誠に失礼かと思い
ますが、私的な文章ということでご容赦下さい。



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妖精の忘れもの

椿の葉で作った「妖精のサンダル」に、短いストーリーを添えてポストカードにしてみました。


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URBAN NATURALIST SOCIETY
NATSUO YOSHIDA

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